ハノンといえばピアノを習っている多くの方が経験している教本です。
この教本は、曲集ではなく指の訓練、すなわち指の動きをスムーズにするための教本。
ハノンをやっていたけど、ただ弾いているだけでつまらない。手首が痛くなったこともあるし、肩も凝った。
など、つらかった思い出があり、ピアノの練習が苦痛になってしまったということがあったのではないでしょうか。
私も子供ながらにそう思っていたし、ハノンの練習の効果はでているのか分かりませんでした。
しかし、ハノンは練習の仕方次第で、とても良い効果がでるのです。
ハノンはただ早く弾こうとするだけでは手首を痛めてしまいます。
しかし、効率よく練習すれば指一本一本を鍛えてスムーズな指の動きができるようになる教本なのです。
今回は
ハノン教本について
- ハノン教本で得られる効果
- ハノンの効果的な練習のポイント
この2点について説明していきいます。
ハノンとは
ハノンとはフランスの作曲家「シャルル・ルイ・ハノン(アノン)」が1873年に出版した教本で、内容は単調で同じ音の型を繰り返し弾くという、指のトレーニングの教則本になります。
ピアノのレッスンには定番の教本として、長年にわたり使用されています。短時間で5本の指を平均的に訓練する、すなわち指の動きを良くし、粒をそろえて弾けるようになることを目的としています。
ハノンの練習で得られる効果
ハノンを練習することで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
以下の5点を説明していきます。
指の動きを良くし、一本一本の指を独立させる
「ドミファソラソファミ〜」から始まり、似たようなパターンの練習をひたすら弾き続けることで指の動きが滑らかになり、一本一本の指を独立させます。
効率の良い練習をしていくことで、指の力を均等につけてバラつくことがなくなっていくのです。
手首を柔らかくして脱力できる
何度も繰り返していくうちに余裕が出てきて、手首を柔らかく使うことができるようになり、余計な力を入れずに弾けるようになってきます。
すなわち、効果的な練習をすることで脱力の仕方が分かってくるのです。
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一定のテンポを保てるようになる
ハノンは曲集ではないので、曲想をつけながら演奏する教本ではありません。
同じテンポで弾き続けるので、機械的ではあるけれど、一定のテンポを保ちながら弾き続ける力が身に付くといえるでしょう。
正しい姿勢と手の位置を覚える
いろいろな曲を弾いていると、つい力が入ってしまって肩が凝ってしまった、ということがあると思います。
力が入ってしまうと、この先思ったような指の動きができなくなってしまうことも。
そこで、ハノンであれば単純な動きだからこそ、正しい姿勢と手の位置を意識しながら練習ができます。
楽譜を見ながら弾けるようになる
楽譜を見ずに、鍵盤を見ながら弾く姿をよく見かけます。
暗譜をするときは良いのですが、練習するときはまず基本は楽譜を見ながら弾くことなのです。
なぜなら、しっかりと楽譜を読み、それを鍵盤を見ないで弾くことで耳で正しい音を聴くことを覚えるからです。
したがって、ハノンは楽譜をしっかりと読みながら弾く練習にも、とても有効といえるでしょう。
また、ピアノを再開してブランクのある方にもおすすめです。
ハノンで効果を上げる練習方法
ハノンはただ速く弾こうとしても、上手く弾けるようにはなりません。
逆に、余計な力が入ってしまい、肩が凝ってしまったり、手首を痛めてしまう原因にもなりかねないのです。
ここでは、指の動きをよくするための効果的な練習方法を紹介します。
練習方法
- まずはゆっくり
- アクセントをつけながら弾く
- リズムを付けて弾く
- 音の大きさを変えて弾く
この4点について説明していきます。
まずはゆっくり
ハノンは単純なパターンで分かっているからといって、いきなり早く弾いてしまうと姿勢や手の形の基本的なことが崩れてしまいます。
最初はゆっくり、姿勢や手の形を意識しながらゆっくり弾くことから始めていきましょう。
アクセントをつけながら弾く
まず、普通に弾いてみると、どうしても力が入らない、自分の弱い指がどこなのかが分かってくると思います。
その多くは小指や薬指が多いと思います。
動きが良くない指があると音の大きさ、速さも安定しない
そこで、アクセントをつけながら弾くようにしてみましょう。
例えば、第一音目と三音目にアクセントをつけて練習したあと、今度は第二音目と四音目につけて練習するなどです。
- タタタタタタタタ
- タタタタタタタタ
特に力が入りにくい指は意識して弾いてみるといいでしょう。
アクセントの場所を変えながら弾くことを繰り返していくことで、弱い指もだんだんと力がついていき、粒がそろってくるようになります。
リズムを付けて弾く
次に、リズムを付けて弾いてみましょう。
例えば、符点音符を入れて弾きます。これもアクセントの時と同じで、符点の場所を変えながらリズムを付けて弾いてみます。
- ターンタターンタ
- タタターンタタタターンタ
こうすることで、まんべんなく一本一本の強化訓練になり、指の独立の近道になるのです。
音の大きさを変えて弾く
ハノンの練習の時は、比較的フォルテに近い強さで弾くことが多いと思います。
しかし、少し弱めに弾いてみたり、右手はフォルテ、左手はピアノなど音の強さを変えて弾いてみることをおすすめします。
なぜなら、音量を左右でコントロールするための有効な訓練になるからです。
ピアノの演奏には、必ず曲想がついてきます。弱く弾く、だんだん強く弾く、など。
これらをスムーズに行うための練習になるといってもいいでしょう。
初心者の方でも、ゆっくりと始めてみましょう!
ハノン練習での注意点
どんな練習でも無理をしないことです。
また、ハノンはただ弾いていても、肩がこってしまったり、手首を痛めてしまう原因にもなってしまいます。
ただ速く弾くことを目的とするのではなく、上記で紹介したようなパターンを変えて弾くことで、効果的な練習ができるのです。
それでも最初は慣れずに疲れてしまうこともあるので、無理せずに短い時間で練習してみましょう。
ハノンで効果を上げる練習を取り入れ上達の近道へ!
ハノンの効率的な練習方法を紹介してきました。
苦痛だと思っていても、リズムや強弱をつけてみると、ただの退屈な練習ではなくなってきます。
ハノンの基本的な練習方法をとりいれ、応用しながら練習していくと、だんだんと指が強くなってスムーズな演奏ができるようになっていくのです。
ただし、張り切っていきなり長時間やるよりも、自分のペースで無理のない練習をするようにしましょう。
ぜひ、ハノンでテクニックをみがき、ぜひ素敵な演奏をしてくださいね。